水平線

研究と批評.

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『カリスマ』(黒沢清)

冒頭の徹夜続きの警察官である藪池(役所広司)の風姿がこの社会の「法則」を物語っているかのようだ。われわれは「労働力の所持者」(マルクス)であれ、労働の形式的従属・包摂は実質的に転化し「賃労働者がその固有性ー属性を失いつつある」(沖公祐)の…

『アカルイミライ』(黒沢清)

皮肉なタイトルだ。「アカルイミライ」が将来待っているはずだと心底から信じることなど可能だろうか。それは、あまりにニヒリストだと批判するかもしれない。だが、オプティミズムに信仰することがそれ以上にニヒリズム的であり、「再帰的無能感」に苛まれ…